こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『明け方の若者たち』は、大学卒業前に始まった5年間の恋の行方と、主人公「僕」が自分自身を見つめるお話し。
またスピンオフの『ある夜、彼女は明け方を想う』では、今度は「彼女」の視点で物語が進みます。
北村匠海、黒島結菜、若葉竜也の恋愛事情です。
見る人によって解釈は異なりそうなお話しだと思います。
今回は『明け方の若者たち』『ある夜、彼女は明け方を想う』のストーリー比較とネタバレありの感想などを書きます。
よろしければ、お付き合いください!
【映画】『明け方の若者たち』『ある夜、彼女は明け方を想う』
作品情報
明け方の若者たち
監督:松本花奈
原作:カツセマサヒコ
2021年 116分
<キャスト>
・僕(北村匠海)
・彼女(黒島結菜)
・尚人(井上祐貴)
ある夜、彼女は明け方を想う
監督:松本花奈
2022年 45分
<キャスト>
・彼女(黒島結菜)
・夫(若葉竜也)
・僕(北村匠海)
彼氏が北村匠海で…
夫が若葉竜也ってアンタ…
予告
明け方の若者たち・ストーリー
希望する企業への就職が内定した大学生の僕は、明大前で開かれた飲み会に参加し、同じ飲み会でつまらなそうにしていた彼女と出会う。
退屈な会を抜け出して、彼女と近くの公園で飲み直したのがきっかけで、僕と彼女は付き合うことになる。
やがて僕は社会人になるが、人を喜ばせる仕事がしたいのに、希望の職種に配属されず不満を募らせる。そんな僕は、彼女の存在が支えになり、いつか夢が叶うと信じて仲間と夢を語りながら会社勤めを続けていた。
その後も僕と彼女は相変わらず仲良くデートを重ねるのだが、5年後、彼女の秘密によって二人の関係は、突然終わりを告げる。
ひとりになった僕は、彼女が去った悲しみや、息苦しい現実から立ち直ろうとする。
明大前で出会う二人のリアルな風景
僕と彼女が出会った状況、明大前の風景などに、大学生のリアルな日常がよく出ていました。夜の公園でデートする大学生。きっと誰もが経験してきたことですが、特にこの近くで青春を過ごした人は、かなり身近に感じるでしょう。
大学のつまらない飲み会で顔を合わせた二人。先に店を出ようとする彼女は、僕に「携帯、失くしたみたいだから鳴らしてもらえない?」というベタな手法で連絡先を伝えます。
退屈な飲み会にうんざりしていた僕は、彼女から『私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?』というメッセージを受け取り、迷いなく彼女と合流します。
彼女は、僕を近くのクジラ公園に呼びます。正確には『玉川上水公園』という名前。クジラのオブジェがあるので、クジラ公園と呼ぶ人もいるみたいですね。
あのあたりは、現在はほとんど埋立てられましたが、かつては玉川上水が流れていた所。今でも隣駅の代田橋の駅下には、玉川上水の水路が流れています。
あと、明大前で出会う恋人たちといえば、映画『花束みたいな恋をした』で、終電を逃したのが縁で恋が始まる話だったことを思い出しました。明大前ってそんなに恋が始まる場所なんでしょうか。(始まったことがない)
東京で青春を過ごしたら、身近に感じるリアル場面
明大前で飲み直した僕と彼女は、その後下北沢で再会します。ヴィレヴァンからスズナリで舞台を見て、王将でご飯。ベタベタのベタですが、見ていて楽しい。その後はお決まりの流れになりますが、下北沢は全部揃っているから、大丈夫なんですね。
やがて僕は高円寺で一人暮らしを始めます。青春です。誰もが通ってきた若い頃の記憶を思い起こされました。
不満だらけの中で、彼女の存在が生き甲斐に
僕は人を喜ばせる仕事がしたくて印刷会社に入社して企画がやりたかったのですが、配属されたのは総務課でした。
僕は日々退屈でうんざりしていますが、いつかは面白いことができると信じて、大学の仲間で同期入社の尚人と、飲みながら夢を語り合います。だけどその夢が現実とかけ離れていくことに段々気づいていく僕は、その不満を彼女との関係を傾けることで満たそうとしているように思えてきます。
仕事では誰も楽しませることができないから、せめて彼女を楽しませたい、そんな風に思ったのかもしれません。
彼女の秘密って何(ネタバレあり)
多くの場合は、若い男女が出会い、何年も付き合っていれば、もうちょい建設的な関係になってもよさそうなのに、どうしてか僕と彼女の関係は、先のない刹那的な楽しさを求めています。
適当に車を走らせ、高級リゾートに宿泊するなど、まだ若い勤め人がする遊び方とはちょっと違う選択を敢えてしている。また会話も「…いなくなったら」「ダメ、ちゃんと生きてね」と、楽しいはずなのに、どうしてなのか先のない会話を交わす。
その秘密は、彼女が人妻だったから。彼女の夫は単身赴任で、別居結婚状態だったんですね。
おそらく僕は、くじら公園で、彼女から全てを聞き、知った上で彼女と付き合うことを選んだのでしょう。
彼の苦しみは続く(ネタバレあり)
「ちゃんと好きだったよ」という言葉を残し、彼女は僕の前から消えてしまいます。
残された僕は、落ち込み、酩酊して、会社を休み、自分を見失いながらも、時間は刻々と流れていきます。
やがて僕は、彼女のいない日常を認めるようになる。
その先に待つものとは? 夢、それとも、単なつ大人の日常?
それは見る人に託されます。
ある夜、彼女は明け方を想う・ストーリー
(画像:https://www.amazon.co.jp/ )
『ある夜、彼女は明け方を想う』はアマゾンプライムで見られます!
大学院生の彼女は、留学先のアメリカで社会人の夫と出会う。彼女は出会ったときから自分より大人で洗練された夫に憧れ、好意を抱いていた。
その後、帰国してからも彼女は夫とデートをして、やがて付き合うように。そして夫の誕生日、彼女は指輪を渡されてプロポーズされ、彼女は夫と結婚します。
彼女は両親が離婚していたり、大学が面白くないと感じていることもあって、日本より海外で生活する方が自分には向いているのかもと、夫に話していた。
就活の時期が迫り、彼女は希望する会社に絞りエントリーしたところ、第一希望のアパレルの内定が取れた。だがそのタイミングで夫の海外赴任が決まってしまう。
結局、彼女は仕事を選び、そのことで夫とは険悪になるが、彼はニューヨークに赴任し別居婚状態になる。自分から選択したとはいえやはり寂しかったのか、彼女は彼に安定剤のような存在を求めました。
過ちであったとしても、確かな光を見てしまったんだ(ネタバレあり)
明大前の飲み会で、彼女が僕に「携帯失くしたから、かけてみてくれない?」と声をかけたのは、彼女が夫から同じことをされたから。大学院生の彼女は、年下の大学生の彼に悪戯をしてみようとしたのでした。
最初は軽い気持ちだったのが、僕との関係が深まるうち、情が移り本気になり、やがて彼女は罪悪感と気まずさを抱えるようになる。だけど止められずに関係に溺れていきます。(よくある話)
けれど夫が帰国すれば僕との関係は終わる。僕は口にこそしていませんが、彼女が既婚者なことを知っている。彼女は僕に嘘を吐かず、僕を共犯者に仕立てているのでなかなかの知能犯です。
彼女は自分の欲求に大変正直なので、後先考えずに手を出し、想像力がないのですぐに後悔して持て余す、そんな行き当たりばったりな性格が窺えます。
でも僕とお別れになった際「少しは好きだった?」と僕から訊かれ「ちゃんと好きだったよ」と彼女は答える。その言葉が彼女の中ではずっと響いている。
そのときの彼女は自分の気持ちに嘘はなく「たとえ過ちであったとしても、あのとき私は確かな光を見てしまったんだ」と内心で思うのですが、第三者からすると、この人(彼女)きっとまたやらかすなと、確信できてしまいました。(懲りてない)
何を謝っているのだこのヒトは?(ネタバレあり)
やがて帰国した夫に、彼女が「ごめんなさい」と詫びる場面があります。やたらと詫びるので、えっ!このヒト話したの? と驚きます。もし夫に打ち明けたとしたら、自分で吐いた嘘を自分の中で抱えきれず、夫まで巻き込んでいることになるので最悪ですが、さすがにそれはないっぽい感じです。
でもこのとき夫は、転勤が決まった際、彼女が一緒に行かないと言い出して、口論になったことを謝っています。「ニューヨーク行く時、酷いこと言ってゴメンな」つまり彼女は不貞を告白したのではなく、夫と一緒にニューヨークに行かなかったことを今更詫びたのでしょう。ですよね。いくら自由人でも、あなたの留守中、ほかの男と会い続けてましたとは言わないし言えません。
これは想像ですけど、彼女に僕がいたように、もしかして夫にもニューヨークに誰かがいたのかもしれない。だから優しくなれたんじゃないかと。
いろんな人の犠牲によって成り立っている夫婦は、その後どうなっていくのかわかりませんが、案外うまくいくのかもしれません。(知らないけど)
▼下北沢が登場する物語はこちらにもあります!
それではまた。のじれいか でした。