子供を離したくない。
特に、すべてを注いで愛してきた息子のひとり立ちは、成長そのものは嬉しいけれど、同時に寂しさがこみ上げてしまうのもの。
親離れ、子離れについては、娘と母親か、息子と母親か、もしくは父親と息子かと色々なパターンが存在します。
今回は『息子と母親の関係』を中心に『子離れできない』『子離れしたくない』人の特徴について、実例を交えて書きたいと思います。
子離れができない母親の特徴10
1 孤独に弱い(慣れていない)
独身のときは実家暮らしで、結婚後は仕事を辞めて家庭を守ることに専念。
少し前の時代には普通だった女性の生き方かもしれません。
ただその生き方だと、夫か子供が自分の側にいるのが当たり前になってしまい、自分が一人で考えて行動した経験を持たないまま時間が過ぎたことになります。
そのため息子の成長を認めつつも、自分の側にいることが当たり前だからと、無意識の依存を強要する場合が多いのです。
2 努力が嫌い
何かを積み上げて成功した経験を持っていない。
コツコツと努力して積み上げることができる性格の人は、自分のなかで基準があるので、子供の成績やキャリアに依存し、子供の手柄を自分の手柄のように感じる必要はありません。
自分自身に誇れるものを持っているはずです。
3 頑固で人の話を聞かない
自分のやり方が定着しているので、新しい考え方を受け入れることを嫌います。
第三者のアドバイスに耳を傾けてしまうと、自分の価値観が壊れることになることが恐怖で、人の考えに耳を塞ごうとします。
4 現実から逃避する性格
子供はいつまで経っても子供、まだまだ自分を必要としている。
そう思いたい気持ちはやまやまでも、実は成長した子供は自分より遥かに経験値が高くなっているのかもしれません。
子供の成長を認めたくない母親は、世の中の変化、その世の中で社会生活を送る、我が子の変化から目を背けようとします。
5 子供に甘くて優しい
子供を愛しているから叱りたくない。
厳しく叱ることだけがよいことではないにしろ、過剰に甘やかしてしまった場合は、どこか遠慮がちになる傾向が。
まるで恋人のように子供を愛してきた母親は、もしかすると子供の本質を見ていないのかもしれません。
6 反抗期がなかったのが自慢
息子の反抗期がなかったことを、嬉しそうに口にする母親。
反抗期は子供本人にとっても苦しいものですが、育ててくれている親を傷つける行為でもあります。
だから反抗期がない方が親にとっては嬉しいのは確か。
ただ反抗期は親子の距離を見直す、大切な時期なのかもしれません。
もし母親が知らなういちに反抗期を終えていたとしたら、その子供は母親からもっと早い時期に心が離れてしまっていたのかもしれません。
7 無趣味・生き甲斐がない
ほかに趣味がなく、家庭以外の交流がない人は子供に依存しやすくて、何かしていても気づけばいつも子供のことばかりを考えてしまいがちに。
絶えず頭から子供のことが離れない、考えないようにしても考えてしまうというループを繰り返している人が多いのが現実です。
8 夫が頼りない
たとえDVなど決定的な夫婦の破綻がなくても、夫が幼稚で頼りないと無意識に子供に頼る心理が生まれてしまいます。
本来は夫婦で交流すべきタイミングを子供のために使ってしまったことも影響しているのかもしれません。
9 自分の家庭が一番だと信じて疑わない
一歩外に出たら別の世界があることはわかりつつも、家庭のなかだけで生きてきたこと、他の世界と比較する機会がないため視野がどんどん狭くなってしまいます。
そして無意識のうちに自分の価値観だけでものを見てしまうのです。
10 交友関係が狭い
他人と接する機会が少ないので、人と意見を交わすことが少ないのも特徴です。
話す相手はほぼ家族だけ。
仕事だけが全てではないのでしょうが、趣味や集まりなどの社会生活にも参加していない場合、人と接する機会がどうしても少なくなり、自分の考えに囚われがちに。
3人の息子の母親 Hさんのケース
息子はかわいいが、その嫁は嫌い。
だけど家族だから仕方なく会う。
Hさんは50代半ば。夫はサラリーマンで首都圏に暮らし。
短大を卒業してすぐに今のご主人と結婚。
3人の息子さんの母親として、家族仲良く暮らしてきました。
反抗期もなく育った息子さんは、Hさんにとって自慢の存在。
上から33歳、28歳、25歳の立派な社会人に成長しました。
長男は結婚して今では2歳になる子供の父親です。
Hさんは専業主婦で無趣味、息子がいれば幸せという価値観で生きてきた人。
ですから長男の結婚には、「まだ早い」と難色を示したそうですが、強くは反対できませんでした。
次男は独身で中部圏の転勤、転勤先で結婚を意識している女性と出会いました。
相手があちらの女性なことが、Hさんを不安にさせています。
三男は九州にいますが、仕事の都合で月に1度程度上京します。
三男が上京するタイミングで家族揃って週末を過ごすのが、Hさん家の恒例行事になりました。
Hさんはパートをしながら、家族が揃う団欒を心待ちにしていました。
Hさんの自宅はミニマムな賃貸マンション。
子供も入れて7人で寝泊りするのは大変そうです。
長男夫婦は、Hさんの自宅から1時間もしない場所に住んでいますが、三男が戻るときにはHさん宅に泊まります。
Hさんのたっての希望とお酒を飲む習慣で毎回泊まることになったそうです。
長男の妻とHさんは、考え方や価値感がまるで違います。
それもあってHさんは、事あるごとおに長男の妻の悪口を口にするようになりました。
嫌いなら会わなければいいのにと、長男の奥さんが気の毒に思えたものです。
仕方なく会っていたのは息子の妻の方だった
長男の妻を嫌っていたHさんでしたが、ある日を境に、長男が自分に冷たくなったと悩むようになります。
これまで反抗期もなく優しかった息子が、自分を避けるようになったと感じるようになったのです。
Hさんは悩みながら、原因が何かということに薄々気づいていました。
恒例の全員集合の週、長男夫婦が遅れるので先に食事を済ませてほしいと、長男妻からHさんに電話が入りました。
Hさんはふと嫁への悪意がこみ上げて長男嫁からの連絡を家族に伝えませんでした。
何も知らず遅れて現れた長男夫妻は、ほかの家族が自分たちを待ちくたびれ不機嫌なことに驚きましたが、Hさんは知らん顔をして、陰でニヤニヤしていたのです。
こんな姑は……
これまで我慢してきた長男妻は、夫にすべてを打ち明けます。
その後、長男夫妻はお泊まり会には参加しなくなり、長男の妻はH家に顔を出さなくなりました。
Hさんは自分がしたことなのに、真実を確かめるのが怖くて、知らん顔をしています。
そして今度は、次男の結婚相手に似たようなことをしているそうです。
結論
子離れできない特徴を持つHさんは、子供を心から愛していました。でもその配偶者まで愛する余裕はなかった。
息子の変化を受け入れているようで、拒絶していたのです。
長男が結婚して独立したことが受け入れ難く、長男の妻の存在も認めたくなかった。
望んでいない関係を強引に関係を築こうとした結果、息子も巻き込んでしまいました。
子供を一人前に育てるのは本当に大変なこと。
しかも見返りは求められないのだからストレスはが大きいのは無理もないと思います。
子供が遠ざかるのは、母親からすれば寂しいことでも、自立できず、依存の関係が続けば、お互いに不幸です。
Hさんの場合、長男が妻を取ったかたちになりました。
完全に巣立つことができ、それは本当によいことだったように思えます。
こういうのを「怪我の功名」と言うのでしょうか。
依存している親の思考。
こういう関係になれれば理想なのかも。
みんなが笑顔で暮らすためには、子供への執着を手放して、自分の生きがいを見つけることも大切。
夫婦の時間を取り戻すか、ペットなどに愛情を分かつこともよいことかもしれません。
それではまた。
のじれいか でした。