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【映画】『20センチュリー・ウーマン 』時系列なのに不思議なタイムトリップ感【ネタバレ・感想】

映画『20センチュリー・ウーマン』(『20TH CENTURY WOMEN 』

母と息子と、その周囲の一風変わった人たちとの交流が描かれています。


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ありがちな親子の成長ストーリーと思われるかもしれませんが、実はそんなことはなく、しかも不思議なトリップ感が味わえる映画です。

どうしてそう感じたのか、掘り下げてみようと思います。

 

作品情報

 

製作年度

2016年

上映時間

118分

監督

マイク・ミルズ

キャスト

・ドロシー/ジェイミーの母、設計士をしながら下宿を経営(アネット・ベニング)


・アビー/ドロシーの下宿に暮らすパンクな写真家(グレタ・ガーヴィグ)


・ジュリー/ジェイミーの幼なじみ(エル・ファニング)

・ジェイミー/ドロシーの息子、15歳(ルーカス・ジェイド・ズマン)

・ウィリアム/ヒッピーな大工(ビリー・クラダップ)

 

予告

 

www.youtube.com

 

感想・ネタバレ

 

この作品の好きなところ・見どころなど


舞台は1979年のアメリカ、カリフォルニア州のサンタバーバラ

シングルマザーのドロシアと、息子で15歳多感な時期を迎えたジェイミー。
ドロシアの家の下宿人でパンク音楽が大好きな写真家アピーと、大工でヒッピーでコミューンを出入りするウィリアム、ジェイミーの幼なじみジュリー。
この5人を中心に物語は進みます。

40歳でジェイミーを出産、55歳になっているドロシアは、成長していくジェイミーとの間にジェネレーションギャップを感じて悩むようになっていました。そして若いアビーとジュリーにジェイミーを見守ってほしいと頼むのです。

パンク世代で一見尖っているれど、実は子宮の病を抱えて悩むアビーも、セラピストの親と問題があって簡単に男の子と関係を持ってしまうジュリーも、ジェイミーを見守っているようでいて、実はジェイミーに頼っているところが大きい。

ウィリアムはヒッピーなので自由人ですが、ヒッピーも下火、自分もいい年齢になり、こんなに自由すぎていいのかと若干考えるようにもなっている。

時代設定は1970年代という遠い昔ですが、映画のなかでは現代。
ベトナム戦争は終結したものの経済や政治は低迷していました。

この映画は登場人物の一人一人が自分の時代を意識していているところが面白い。
そして舞台背景が1979年と具体的な背景があるのは、本作品監督のマイク・ミルズ自身の生い立ちをモデルにしているから。

なので単なる懐古的映画ではなく、登場人物たちの一時代を切り取った風景のように見せているところも趣があっていいと思いました。
政治など時代背景、音楽や70年代カルチャーも登場します。
 

あとはとにかく台詞がいい
違う世代同士が、遠慮なく本音で語り合える関係もステキでした。

 

イマイチなところ、さほど20世紀感は出ていない

 

タイトルは『20センチュリー・ウーマン』(『20TH CENTURY WOMEN 』)で、マイク・ミルズ自身の経験をベースにつくられたことはお話しました。

20世紀に生きた女性たちの姿と、彼女らと関係することで生じるジェイミーの戸惑いや、恋愛への目覚め、それらを経てフェミズムに目覚める心の動きはよく出ていたと思います。

ただ、タイトルにあるほど20世紀感はそれほどなくて、古きよきアメリカの瞬間を切り取ったといった方がふさわしい気がしました。

ドロシアは日本の年号に置き換えれば1930年生まれ、年号だと昭和5年生まれ。
それを考えると、かなり自由に生きている女性なだと思われます。

だけど、ドロシアは離婚してから男性とデートもしなことがない。このまま自分は消えてしまうのだという諦めと、でも本当にこれで終わってしまうのかと諦め切れない思いのジレンマを抱えています。
また息子のジェイミーからも孤独を指摘されて余計に落ち込むところなどは、いつの世もきっとあまり変わらない女心のように思えました。


考察と感想

 
この作品は1979年を舞台にしていますが、後半になるに従い、登場人物たちのその後が語られ、その時代が過去であることがわかってきます。

タイムトリップなんかしていないのに、ネオ・タイムトリップ感が得られるのは構成力が秀逸だから。
実は、疎遠になった人、亡くなってしまった人の、かつての時間を振り返るといった見せ方が、短い時間を一緒に過ごした仲間たちの輝きを強くしています。


苦しんだり愛したり色々ありながら、1979年を乗り越えられたことがわかるので、見ていて安心させられるものの、一方で少し寂しい気持ちにもなりました。


誰でも経験があるのではないでしょうか。
ある時代に交流のあったかつての人たちを思い出すことが。
ここに登場する人たちも、やがてはバラバラになりそれぞれの道を歩みます。


 

さいごに

映画『20センチュリー・ウーマン』について話してきました。

寂しいと思うけれど、人は出会いと別れを繰り返しながら生きている。

かつて時間を共有した多分もう二度と会うことのない人たち。
自分にとっての1979年はいつだろう。
そんなことを考えながら見て欲しい映画です。

それではまた。
のじれいか でした。